八王子城下の歴史を巡る旅 後北条氏・武田氏・徳川氏の運命が絡み合う街の魅力とは
Mummy-D&KOHEI JAPANの遠い目症候群#03
■目指せ本丸! 山城攻めの厳しさと難しさを全身で体感
(by KOHEI JAPAN)
てな感じで御主殿、正門や石垣など隅々まで堪能した俺たち。残すは本丸だ。ここから徒歩約40分の山道を登った頂上にあるらしい。時間はまだたっぷりある。問題はおじさん達の体力だ。さあどうする? 俺達よ。おい。どうするよ? おい。正確に言うと俺たちの膝よ。なんてったって俺は膝に水が溜まっている。おい。でもせっかく此処まで来たんだ。なあ、俺たちは何をしに来たんだ? そうだ遠い目だ。ならば頂上にある本丸で、とびきりの遠い目をしようじゃないか!

「行きたい!」「誰か待ったをかけてくれ……」「いやあ、ここまで来たら行くべきか」等々、各々の思惑が絡み合う駆け引きの結果、本丸を目指すことに。気合を入れて出発! どうかこの時の2人の姿をよく覚えていてほしい。
ということで入り口の鳥居をくぐり登山開始。ライミングは得意だけどクライミングは苦手だよね、うんうん。なんてブツブツ言いながら登ること15分、金子丸に到着。僅かな平地を利用した曲輪は山城ならでは。ここは金子三郎左衛門家重が守備をしていたところ。ベンチで休憩。ここでいち早くスタッフのO氏脱落笑。確かに結構きつい。
ハァハァ。徐々に隊列は乱れ、無言になっていく。両側にたまに小さな平地があり、石垣なども残っている。標高もあがり左右崖が広がる。こんな所這い登って攻めてこれるのか? 九合目に差し掛かると左手に一気に視界が開ける。八王子の町はもちろん、横浜、東京エリアも一望できる。見渡す限り北条の陣地。ここでしばし遠い目。ハァハァ、さあ、あと少しで本丸ぞ! 一行は八王子神社に到着。八王子城築城にあたり、氏照が城の守護神とした「八王子権現」が祀られてる。八王子という地名はここからきている。ほほう。

ここまで頑張って登った者へのご褒美はこの絶景。見よ、これこそ北条が治めた地である。
撮影:Mummy-D

北条が治めた広大な土地、令和のこの姿を見て北条氏はどんな思いを抱くのだろうか……時の流れを感じながら遠い目……。
おお!山頂がみえてきた!さあみんなついに到着じゃい!頂上で達成感と開放感を味わうんじゃい!よっしゃ着いたー! ばんじゃーい! ばんじゃーい! …えっ?。思ったより狭い…。景色も全く見えず開放感なし…。天守閣もなく、あるのは小さな祠のみ…。山城とはどこも基本こういうものらしい。でも落城の時は、ここに大量の上杉軍が殺到し、勝鬨(かちどき)をあげてたのだろう(ハァハァ、遠い目)……よーし撤収ー! 撤収ー! 膝をガクブルさせながら下山。普通の城巡りもいいけど、自然の地形をふんだんに利用した山城の奥深さにはじめて気づいた。そして、山城攻めの2日後には激しい筋肉痛が俺たちを襲うということを思い知った。

全身で疲労感を表現するMummy-D氏と、地蔵の如く微動だにしないKOHEI-JAPAN氏。2人はひとしきり写真撮影を終えると、深い溜息とともに座りこんだのだった。